不動産一括査定と実際の売却価格は違う?

住居移動の実態からみた需要構造

このような新築・中古への入居は、住み替えによるものである。住宅に入居した世帯は、①勤務地が変わったり、よりよい住宅への転居で「借家から」が多く、②就職や結婚などで新規に世帯を形成した世帯が多い。また、③持ち家居住世帯では、よりよい持ち家へ住み替わった世帯がある。

「主宅統計調査」によると、 1989年一93年9月の4年9カ月聞に新たに住宅に入居した世帯数は1186万世帯(同居等を除くと、 1180万世帯)だが、それは「借家から」が53。4%、’親族の家・寮等から」が27.1%持ち家から」が18。0%である。

ところで、新規形成世帯はそのほとんどが借家に入居している。また「借家から」住み替わった世帯はそのほとんどが借家に入居しており、 20″-‘30%が持ち家へ入居している。

中古持ち家に居住していた世帯がより大きい新築の持ち家(分譲住宅)へ、そしてその中古持ち家に中古借家に居住していた世帯が住み替わる。その中古借家に新規形成世帯が、また小さな借家に居住していた借家世帯が住み替わる。このような住み替えによって住宅需要が生じる。

この需要に対して、新築住宅が供給され、あるいは中古住宅が流通する。供給が需要を上回ると、空き家が生ずる。以上は新規形成世帯が増える場合(世帯が増加する場合)である。

この場合、新築住宅(竣工戸数、正確には後述の建て替え等のための滅失戸数を差し引いた住宅ストック増加数)が世帯増加数より多いと、空き家が生ずる。

そして増加した空き家のうち老朽化したもの、質が劣悪で陳腐化しているものなどが建て替えられていく。この空き家になったものの建て替えのほか、老朽化、質の劣悪化した持ち家、借家のより良質な住宅への建て替えがすすむ。

なお、この建て替えは「建築統計」では新築の持ち家、貸家、給与住宅の着工戸数に含まれる。新規形成世帯が増えない場合(世帯の増加がない場合)にも新築住宅への住み替えがすすみ、空き家が生じ、その建て替え、その他の建て替えがすすむ。こうして、

住宅竣工戸数=新規形成世帯(世帯増加数)+空き家増加+建て替え等

となるが、住宅需要となって現われる入居数は、世帯増加数+建て替え等+中古住宅入居数になる。また、

主世帯数(普通世帯数から同居世帯を除いた世帯)十空き家=住宅ストック数なので、空き家を含めた住宅需要は、住宅需要=住宅ストック増加数+建て替え等+中古住宅入居数となる。

住み替え(住居移動)の変化からみた住宅需要の変化

住み替えの変化を過去からみると、借家世帯から借家世帯への住み替わった世帯がもっとも大きし次に新規形成世帯が借家に居住していく世帯が高い水準で推移しており、新規形成世帯、世帯増加数の変化が住宅需要の変化に大きな影響を及ぼしてきていることがわかる。

借家に居住していた世帯で住み替わった世帯は、 1978年までは「借家へ」が多かったが、以後減少し、それに代わって「持ち家へ」の比重が高まった。しかしそれも1978年までで、79年からは持ち家への住み替えが減少し、また84年からふたたび借家への住み替えが増えている。

一方、持ち家に居住していた世帯の「持ち家へ」の住み替えが1983年までは増え続けたが、 84年からは減少に転じている。持ち家から「持ち家へ」の住み替え世帯の増加は、他の面からみれば、中古持ち家の売却が増えていることだから、借家世帯等の中古持ち家の購入が増え、中古持ち家の流通の増加、持ち家居住世帯の買い換え、二次取得がすすんでいることを示す。

しかし、その増大のテンポは1984年以降、かなり鈍化してきている(そのことは、中古持ち家入居世帯が1984年から減ってきていることからみることができる)。持ち家から「持ち家へ」の住み替え世帯が増えないことは、借家から「持ち家へ」の住み替えがすすんだとしても、それは新築購入が増加しているとみることができる。